Cross-Column2

2000/08/01

ブルースは何故むずかしいと言われるのか?

ブルースのクォーターターンの回転量、その大いなる功罪

ブルースの足型は日本で発明されたんだって? そう言われると外国にはチークがあるからブルースは不要だなあ、日本のパーティーにはチークがないから、社交ダンスの基本としてブルースを発明したのかなあ。この辺のことを書いた本を見つけたら、教えて下さい。

よく、上級の人たちが「ブルースは難しい」と言います。私も最近そう思うようになりました、流派が多過ぎるのです(^^;

さて、「ブルースは難しい」の理由はなんでしょう? 以下はその私の考察であります。

さて、普通、スタンダードはブルースから入門します。多分、クォーターターンズから習い始めます。これは入門の人にいろんなことを教えてくれる大事な足型だと思うのですが、「ブルースが何故難しいのか」を考える場合、このクォーターンズが曲者だと考えるようになりました。

クォーターンズを教科書で見ると「男も女も、2~4で右へ1/4、6から8で左へ1/4、回転する」と書いてあります。

スタンダードをこれから習おうという人に、スタンダードの回転の基本はこれだと最初に教える割には、この回転量は極めて特殊な回転量です。面倒なので前半の2~4だけで口説いてみたい。女子は6から8がこれに相当するので、自分には関係ないと思わないこと・・・。

ブルースにもナチュラルターンというのがあります。チャート(表)を読むとその前半の4歩はクオーターターンズの前半の4歩とほとんど同じです。違うのは、3歩目だけのようです。即ち、クォーターターンズでは「左足 横 回転を続け」、対するにナチュラルターンでは「左足 横」である。言葉的に言うと前者には「回転を続け」と書いてあるのに、後者にはその言葉が無い。両方の足型とも2歩目で「右へ回転し始め」と書いてある。一体、3歩目で「回転を続け」という言葉があるのと無いのとではどう違うのだろう。私はこれは校正ミスではないかと思うのですが、如何なものでしょうか。

さて、本題はこれからです。両足型の決定的な差は回転量にあります。どちらも2~4で回転すると書いてあるのですが、その回転量は違うと書いてあります。クオーターターンズでは「1/4」、ナチュラルターンでは「3/8」。

「なんだ大した差ではないではないか」と言われそうなんですが、私は敢えて問題にしたい。だいたい、3歩もかけて「1/4しか回転」しない足型って、他に有るだろうかです。しかし、こう言う書き方では本質は見えないので、別の書き方をします。

ボディの軌跡が全く違うのです。手っ取り早く、教科書の足型図を見て下さい。

ブルースのクオーターターンズとナチュラルターンの場合、「スタ-ト位置から1歩目の足を結ぶ線」と「1歩目の足と2歩目の足を結ぶ線」とは一直線上で繋がっています。(ここではあまり細かいことは言わないように願います(^^;) ふたつの足型とも2歩目までは同じ軌跡を辿ってきています。問題は「2歩目と3歩目を結ぶ線」がそれまでの軌跡の線と真っ直ぐに繋がっているか、斜め横に折れ曲がっているかにあります。



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   ブルースの図解

     クオーターターンズ前半    ナチュラルターン前半

                    34
                      \
      _ _2             \2
     34  \              \
          \              \
          1\             1\
            \              \
            Start            Start

     ダイレクションが       ダイレクションが
     途中で折れている       最後まで一直線である


   ワルツのナチュラルターン前半の図解
   (原則通りに踊る場合)

      23
       \
        \1
         \
          \
           Start

     ダイレクションが
     最後まで一直線である

ワルツのダイレクションは上図のように一直線でありたいものだと考えていますが、ブルースのクオーターターンズの癖がついていると下図のようになってしまいます。

   ワルツのナチュラルターン前半の図解
   (クオーターターンズ風に踊る場合)

      _ _1
     23  \
          \
           Start

     ダイレクションが
     途中で折れている


もし、ワルツで男女の間でこのダイレクションの取り方が違うと押し合いへし合いが始まります。ワルツのナチュラルターンやリバースターンを踊る時は1歩目と2歩目の間でダイレクションを変えてはいけません。反対にブルースのクォーターターンズだけは、途中でダイレクションを変えなくてはいけません(^^;。


このダイレクションを途中で折り曲げて踊るというのは、ワルツのナチュラルターンやリバースターンとは全く違っています。ブルースのナチュラルターンの前半とも違っています。クォーターターンズだけが、ダイレクションを途中で折り曲げて踊らないといけないのです。ワルツの二歩目で「横へ」といってもダイレクションは変わりません。しかし、クォーターターンズの場合は、2から3で本当に身体をそれまでのダイレクションとは違う方向へ足も身体も送らないといけないのです。これは極めて例外的な動きです。ワルツのクローズド・チェンジも横に折れ曲がって足型が書いてありますが、極めて上級の人がお手本のためにクローズド・チェンジを踊っているのをビデオを見ていると、なるだけダイレクションが途中で折れないように踊っています。そうしないと、ジュースがこぼれてしまうというか、ダイレクションを途中で変えないというのはそれまでの体の動きを生かすことができて簡単なのです。しかし、クォーターターンズでは、明確に横に足も身体も送る必要があります。この違いはリードする方もフォローする方もはっきり認識すべきかと思うようになりました。



クォーターターンズの「ダイレクションが途中で折れる」という動きを入門の入り口で教えるとは、如何に簡便に踊らせる為とは言え、極めて安易な発想ではなかっただろうか。この折れ曲がって行くというのを最初に教えられたことが、ダンス人生でずっと尾を引いていくのであります。

ワルツなどでその軌跡がデゴデゴだと極めて不都合なのです。ダイレクションが途中で曲がってはいけないという足型でこれをおろそかにするとリードもフォローも一層むずかしくなります。このことは男女とも肝に銘じておかないといけません。

まかり間違うと「押さないで」と のたまわれて しまうのであります。(^^;


では、クォーターターンズは教えてはいけない足型なのだろうか。いや、そうではない。とりあえず動くためには、この安直な足型も必要な足型です。でも、これは例外的動きをしている足型ですよと教えておくべきではないでしょうか。それとも思い切って、クォーターターンズをブルースのナチュラルターンの前半ばかりをつないだような足型に改正するか・・・。

極めてラテンに近いボックスルンバを安直にスタンダードの基本にしてしまったような気がするのです。


さて、ブルースのナチュラルターンを日本の教科書では「2~4で3/8回転」と書いていますが、英国のダンスの協会ならこんな書き方をするだろうか? 
きっとワルツの1から3の回転と同じような書き方をするのではないでしょうか。
ブルースが日本で発明されたという説はこういう記述の仕方の違いから頷けるのであります。ブルースのチャートの記述はそろそろ見直す必要があるのではないかと思うのであります。




Bluesの起源 - DDD勝手にダンス事典



2000.08.01 初稿



教え魔的社交ダンス理論
Body ○ボディ ×ボデー、ボディー
Direction ○ダイレクション ×ディレクション
Figure ○フィガー ×フィギュア
Step ステップ 足型 足形
To ○ツー ×トゥー、トゥ、ツゥ
○ スタンダード = × モダン ブルース
初心者 入門者 ベーシック ブルース チークダンス
姿勢 前バランス 骨盤を立てる ホールド

ブルースは何故むずかしいと言われるのか?



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